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矯正歯科
マウスピース型矯正装置の種類を比較:主要アライナー6ブランドの特徴と違い

マウスピース矯正(アライナー矯正)は、透明な樹脂製のマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かす矯正治療です。金属のワイヤーを使用しないため、装置が目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外せることが特徴です。
現在、世界ではさまざまなアライナーブランドが歯科医師を通じて提供されており、それぞれ使用する素材・治療計画ソフト・マウスピースの設計・対応できる症例の範囲などに違いがあります。本記事ではまず主要6ブランドの特徴を一覧表で比較し、続いて各ブランドの詳細を客観的に解説します。
結論として、どのブランドが使用されるかは患者が選ぶものではなく、症例や治療計画をもとに歯科医師が判断します。本記事は、それぞれの装置にどのような違いがあるのかを理解するための参考情報としてご活用ください。

執筆者プロフィール
副院長 沖田 直也(おきた なおや)
歯科医師/博士(歯学)
大阪歯科大学大学院にて歯科矯正学を専攻。矯正歯科領域の診療に従事しています。
主要アライナーブランド比較一覧表
以下は、本記事で取り上げる主要6ブランドの特徴を整理した比較表です。各社公式サイト等をもとに個人が調査・整理したもので、内容に誤りが含まれる可能性があります。また、日本国内において薬機法上の承認を受けていない医療機器が含まれます(詳細は記事末尾の「薬機法において承認されていない医療機器について」をご確認ください)。
| ブランド | 国 | 主な素材 | マウスピースの縁の形状 | 対応症例の範囲(目安) |
|---|---|---|---|---|
| Invisalign(インビザライン) | アメリカ | SmartTrack(多層構造) | 歯肉のラインに沿った形状 | 軽度〜重度まで幅広い、抜歯症例にも適応とされる |
| Spark(スパーク) | アメリカ | TruGEN/TruGEN XR | 研磨されたスカラップ形状 | 各症例(歯科医師判断) |
| ClearCorrect(クリアコレクト) | スイス | ClearQuartz(3層構造) | フラットなストレートカット | 各症例(歯科医師判断) |
| Angel Aligner(エンジェルアライナー) | 中国 | masterControl/masterControl S | ― | 軽度〜重度、抜歯症例にも適応とされる |
| AsoAligner(アソアライナー) | 日本 | 硬さ違いのシート(ソフト〜ハード) | ストレートカット | 後戻り修正・軽度中心(FULL-Packageで適応拡大) |
| SureSmile(シュアスマイル) | アメリカ | ― | ストレート/スカラップ選択可 | 叢生・過蓋咬合・開咬など幅広い |
※上記の「対応症例の範囲」は各社の情報に基づく一般的な目安です。実際にどのブランドが適しているか、また自分の症例に適応があるかは、歯科医師の診断によって判断されます。
アライナー矯正の仕組み
アライナー矯正では、患者ごとにカスタマイズされたマウスピースを複数枚作製し、一定期間ごとに交換することで少しずつ歯を動かします。治療開始前に歯型のデジタルスキャンや印象採得を行い、専用ソフトウェアで治療計画を立てた上でマウスピースを製造します。
多くのブランドでは、歯の表面に「アタッチメント」と呼ばれる小さな突起を接着し、より複雑な歯の動きをコントロールする手法を取り入れています。また、マウスピースの縁(トリムライン)の形状もブランドによって異なり、歯肉のラインに沿った形状や、直線的にカットした形状などがあります。
主要アライナーブランドの特徴
以下の情報は2026年5月時点に各メーカー公式サイト等をもとに個人が調査・整理したものです。内容に誤りが含まれる可能性があります。
また、日本国内において薬機法上の承認を受けていない医療機器が含まれます。詳細は各取扱医院にご確認ください。
Invisalign(インビザライン)
- 国: アメリカ
- 開発会社: アライン・テクノロジー社(日本提供:インビザライン・ジャパン合同会社)
- 特徴:
- 「SmartTrack」と呼ばれる多層構造素材を使用し、歯への力の伝達を調整。
- 歯の表面にアタッチメントを接着して歯の動きをコントロール。
- 治療計画にはクラウドベースの3Dソフトウェア「ClinCheck Pro」を使用(CBCTデータとの統合可能)。
- マウスピースの縁は歯肉のラインに沿った形状。
- 適応範囲は軽度から重度まで幅広く、通院頻度は1〜2ヶ月に1回程度。
- 所定のトレーニングを受けた歯科医師を通じてのみ提供。
Spark(スパーク)
- 国: アメリカ
- 開発会社: Ormco社(日本提供:エンビスタジャパン株式会社)
- 特徴:
- BPA・水銀・ラテックス・フタレートフリーの「TruGEN」および「TruGEN XR」素材を使用。
- マウスピースの縁は研磨されたスカラップ形状(歯肉のラインに沿った形状)。
- 位置・形状・ベベルをカスタマイズ可能なアタッチメントを使用。
- 治療計画には「Spark Approver 3D」アプリケーションを使用。
- 承認されたSparkプロバイダー(歯科医師)を通じてのみ提供。
ClearCorrect(クリアコレクト)
- 国: スイス
- 開発会社: ストローマングループ(Institut Straumann AG)
- 特徴:
- 持続的な力の適用と耐久性を備えた「ClearQuartz」という3層構造素材を使用。
- 長方形で複数サイズからカスタマイズ可能な「エンゲージャー」(アタッチメント)を使用。
- マウスピースの縁は歯肉縁を覆うフラットなストレートカット。
- 個々の歯の移動を3Dで細かく制御できるウェブベースのソフトウェア「ClearPilot」を使用。
- 歯科医師を通じてのみ提供。
Angel Aligner(エンジェルアライナー)
- 国: 中国
- 開発会社: Angelalign Technology社
- 特徴:
- 「masterControl S」と「masterControl」を使用(Pro版では両者を組み合わせた「7+3 dual material」設計)。
- アタッチメントに加え、顎間ゴム用ボタン(angelButton)がマウスピース本体に直接組み込まれている設計。
- クラウドベースの「iOrtho」ソフトウェアを使用(セファロ分析や歯根を考慮する機能も搭載)。
- 軽度から重度まで対応し、抜歯症例にも適応するとされる。
- 歯科医師主導の治療として提供。
AsoAligner(アソアライナー)
- 国: 日本
- 開発会社: 株式会社アソインターナショナル
- 特徴:
- 1ステップごとに「ソフト」「ミディアム」「ハード」と硬さの異なるマウスピースを順番に装着し、段階的に矯正力を加える国産ブランド。主に後戻り修正や軽度症例が適応範囲。
- マウスピースの縁はストレートカット。
- 全顎的な矯正治療に対応した「CHANGE AsoAligner FULL-Package」では、基本0.6mmの単一シートを1ステップとして1週間〜10日装着する仕様となり、抜歯を含む症例にも適応が拡大。ただし骨格性を伴う症例、重度の開咬、大臼歯の近遠心移動を伴う症例などは非適応。
- 歯科医師を通じてのみ提供。
SureSmile(シュアスマイル)
- 国: アメリカ
- 開発会社: Dentsply Sirona社
- 特徴:
- 叢生・過蓋咬合・交叉咬合・開咬・空隙歯列など幅広い症例に対応。
- マウスピースの縁はストレートとスカラップのいずれかを選択可能。
- 多様なスキャナーやCBCTデータと連携可能な「SureSmile Treatment Planning Software」を使用。
- 「SureSmile Simulator」により治療後の歯並びを3Dで事前確認できる。
- 歯科医師を通じて提供。
アライナー矯正を選ぶ際に知っておきたいこと
ブランドごとに素材や設計、対応できる症例の範囲が異なりますが、患者が選択できるわけではなく、最終的にどのブランドを使用するかは歯科医師が判断します。大切なのは、自分の症例にそのブランドが対応しているかどうかを事前に確認することです。
治療を検討する際は、担当歯科医師に以下の点を確認することをお勧めします。
- 自分の症例への適応可否
- 使用するブランドとその理由
- 治療期間の目安と通院頻度
また、アライナー矯正は1日22時間以上の装着を推奨される場合があります。装着時間が守れない場合、治療計画通りに歯が動かない可能性があります。
マウスピース矯正のブランドに関するよくある質問
-
Q: マウスピース矯正のブランドは自分で選べますか?
基本的に患者が自由に選ぶものではありません。素材や設計、対応できる症例の範囲がブランドごとに異なるため、症例や治療計画をもとに歯科医師が判断します。気になるブランドがある場合は、適応があるかどうかを相談するとよいでしょう。
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Q: インビザラインと他のブランドは何が違いますか?
ブランドによって、使用する素材、マウスピースの縁の形状、治療計画に使うソフトウェア、対応する症例の範囲などに違いがあります。本記事の比較表で主要6ブランドの特徴を整理していますので参考にしてください。ただし、どの違いが治療結果にどう影響するかは症例によって異なるため、具体的な選択は歯科医師の診断によります。
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Q: 国産のマウスピース矯正ブランドはありますか?
本記事で取り上げた中では、AsoAligner(アソアライナー/株式会社アソインターナショナル)が日本のブランドです。後戻りの修正や軽度の症例を中心に用いられ、パッケージによっては適応範囲が拡大するものもあります。
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Q: どのブランドでも抜歯が必要な症例に対応できますか?
ブランドや症例によって異なります。比較表のとおり、抜歯症例への適応があるとされるブランドもありますが、骨格的な要因が大きい症例などは適応外となる場合があります。対応可否は歯科医師の診断で判断されます。
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Q: 薬機法で承認されていないブランドは使っても大丈夫ですか?
本記事で紹介しているブランドには、日本国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器(未承認医療機器)が含まれます。これらは医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。使用にあたっては、未承認医療機器であることや想定されるリスクについて、担当の歯科医師から十分な説明を受けることが大切です。詳しくは次の項目をご確認ください。
薬機法において承認されていない医療機器について
本記事で紹介しているマウスピース型矯正装置(Invisalign・Spark・ClearCorrect・Angel Aligner・AsoAligner・SureSmile)は、いずれも日本国薬機法上の医療機器として認証・承認を得ていない装置であり、日本国歯科技工士法上の矯正装置にも該当しません。薬機法の対象外であるため、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない場合があります。
各ブランドの詳細は以下の通りです。
Invisalign(インビザライン)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。アライン・テクノロジー社が製造し、インビザライン・ジャパン合同会社を通じて入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。諸外国において広く使用されている医療機器ですが、使用に伴い矯正治療一般に共通するリスクや副作用が生じる可能性があります。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
Spark(スパーク)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。米国カリフォルニア州に本拠を置くOrmco社の製品であり、エンビスタジャパン株式会社を通じて入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。SparkはFDA(米国食品医薬品局)により医療機器として認証を受けています。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
ClearCorrect(クリアコレクト)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。スイスのストローマン社の製品であり、ストローマン・ジャパン株式会社を通じて入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ており、現在までClearCorrect固有の重篤な副作用の報告はありません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
Angel Aligner(エンジェルアライナー)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。Angelalign Technology Inc.(中国)製であり、同社の日本における正規代理店または提携販売会社を通じて入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。エンジェルアライナーは中国をはじめアジア・ヨーロッパ・南米などの諸外国において臨床使用実績が蓄積されており、ISO 13485・ISO 9001・CEマーク・NMPA承認(中国)等の国際的な品質認証を取得しています。ただし日本国内では未承認医療機器としての扱いとなります。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
AsoAligner(アソアライナー)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。株式会社アソインターナショナルより入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。世界で520万人以上の症例数を持ち、矯正治療に伴うリスク以外で重大な副作用の報告はありません。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
SureSmile(シュアスマイル)
未承認医療機器に該当し、薬機法上の承認を得ていません。デンツプライ・シロナ社の製品であり、同社より入手しています。国内にもマウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けているものが存在します。デジタル矯正分野において豊富な治療実績があり、現在まで重大な副作用の報告はありません。なお、使用される材料そのものは薬事承認されています。万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
執筆者・監修者

監修:歯科医師
沖田 亮介(日本口腔インプラント学会 専修医)
一般歯科および口腔外科領域を中心に臨床に従事している。

執筆:歯科医師(矯正歯科)
沖田 直也(歯学博士 / 日本矯正歯科学会 認定医)
歯科矯正学を専門に大学院で研究を行い、臨床および教育活動に従事している。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、治療効果や適応は個人差があります。具体的な診断や治療については歯科医師にご相談ください。