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マウスピース型矯正の仕組みとは?装置が歯を動かす原理を矯正歯科医が解説

マウスピース型矯正は、透明な装置を順番に交換しながら歯並びを整えていく治療方法です。「どのような仕組みで歯が動くのか」「自分に適しているのか」という疑問をお持ちの方も多いかと思います。本記事では、装置が歯を動かす原理から治療の流れ、一般的な適応の考え方まで、矯正歯科の立場から解説します。

執筆者プロフィール

副院長 沖田 直也(おきた なおや)
歯科医師/博士(歯学)
大阪歯科大学大学院にて歯科矯正学を専攻。矯正歯科領域の診療に従事しています。

マウスピース型矯正で歯が動く仕組み

歯が動く原理:骨のリモデリング

歯は顎の骨(歯槽骨)の中に埋まっており、歯根膜という線維組織によって骨と連結されています。この歯根膜に持続的な力が加わると、力がかかる側の骨を溶かす細胞(破骨細胞)と、反対側に新しい骨をつくる細胞(骨芽細胞)がそれぞれ働きます。この骨の吸収と形成が繰り返されることで、歯は少しずつ移動します。この過程は「骨のリモデリング」と呼ばれ、矯正治療全般に共通する基本的なメカニズムです。

重要なのは「持続的で適切な力」である点です。強すぎる力は歯根や骨にダメージを与えるリスクがあり、弱すぎると十分な骨代謝が起きません。マウスピース型装置は、この力のコントロールを段階的な装置交換によって実現しています。

マウスピースが力を加える仕組み

マウスピース型矯正装置は、現在の歯の位置からわずかにずれた形状で設計されています。この「ずれ」が装着時に弾性力として歯に伝わり、計画された方向へ継続的な力を加えます。

一定期間装着した後に次の装置に交換することで、少しずつ歯を目標位置へ近づけていきます。この交換を繰り返すことで、骨のリモデリングが連続的に起き、歯列全体が段階的に改善されていきます。

治療計画通りに歯を動かすためには、所定の時間(一般的には20時間から22時間程度)装着することが求められます。装着時間が不足すると計画通りに骨代謝が進まず、治療期間の延長や計画の修正が必要になる場合があります。

インビザラインの仕組み

デジタルシミュレーションを用いた説明の様子

インビザラインは、マウスピース型矯正装置の代表的なシステムの一つです。口腔内を3Dスキャンして得たデータをもとに、専用のソフトウェアで歯の移動過程をシミュレーションし、その計画に沿った複数の装置を一括で作製します。

治療の進行に合わせて装置を順番に交換することで、シミュレーション通りの位置へ歯を誘導していきます。デジタル技術によって治療計画の精度が高められている点が特徴とされています。マウスピース型矯正装置には複数の種類があり、具体的な選択は歯並びやかみ合わせの状態、全身的な状況などを総合的に診断したうえで判断されます。

治療の流れ

マウスピース型矯正を検討する場合、まず口腔内や顔貌の診査、画像検査などを通じて現状を把握します。そのうえで診断を行い、治療計画を立案します。

治療計画に基づいてマウスピースを作製し、装着を開始します。その後は一定の間隔で通院し、計画通りに歯が移動しているかを確認します。治療の種類や進行状況によって通院間隔は異なりますが、経過確認のための定期的な通院が治療の一環となります。必要に応じて計画の調整が行われることもあります。

マウスピース型矯正が用いられることの多い症例

マウスピース型矯正は、軽度から中等度の歯列不正に対して用いられることがあります。例えば、前歯の重なり(叢生)や歯と歯の間のすき間(空隙歯列)などが一般的な対象として挙げられます。

一方、骨格的なずれが大きい場合や歯の移動量が多い場合など、歯並びやかみ合わせの状態によっては他の治療方法が検討されることもあります。どの治療方法が適しているかは、診査・診断の結果をもとに判断されます。

また、前述の通り装着時間の自己管理が治療結果に直結するため、生活習慣に応じた自己管理が可能かどうかも、治療方法を検討する際の要素となります。

西宮・芦屋でマウスピース型矯正を検討する際の考え方

矯正治療は、治療開始から終了まで継続的な通院が必要な医療行為です。治療方法を選択する際には、通院が無理なく継続できる環境かどうかを確認することが一つの判断基準となります。

また、インターネット上には様々な情報が存在しますが、装置の種類や治療方法の適否は個々の歯並びやかみ合わせの状態によって異なります。自己判断ではなく、専門的な診査・診断を受けたうえで治療方法を検討することが重要です。

当院の矯正歯科診療については、こちらのページで詳しく解説しています。

まとめ

マウスピース型矯正は、骨のリモデリングを利用して段階的に歯を移動させる治療方法です。装置の形状差によって生じる弾性力を持続的に加え、装置を順番に交換することで計画された位置へ歯を誘導します。インビザラインはその代表的なシステムの一つで、デジタル技術を用いた治療計画の立案が特徴です。

どの治療方法が適しているかは、歯並びやかみ合わせの状態などを総合的に診断したうえで判断されます。治療方法の名称や印象のみで決めるのではなく、医療的な評価に基づいて検討することが重要です。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、治療効果や適応は個人差があります。具体的な診断や治療については歯科医師にご相談ください。

未承認医薬品等の明示

薬機法において承認されていない医療機器を用いた治療について

当院で使用するマウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本国内において薬機法上の承認を受けていない医療機器として扱われています。
ウェブサイトにて患者さまへの情報提供を行うにあたり、限定解除に必要な要件を満たすための記載を以下に掲載いたします。

① 未承認医薬品等であることの明示

当院で使用するマウスピース型矯正装置(インビザライン)は、日本国内において薬機法上の承認を受けていない医療機器として扱われています。

② 入手経路等の明示

当該装置は、海外製造元が製造したものを、歯科医師の責任のもと、適切な手続きを経て入手しています。

③ 国内の承認医薬品等の有無

日本国内には、マウスピース型矯正装置として薬機法の承認を受けている医療機器が存在しますが、当院で使用する装置とは形状や設計、治療計画の立案方法等が異なります。

④ 諸外国における安全性等に係る情報

インビザラインは、諸外国において使用されている医療機器ですが、使用に伴い、矯正治療一般に共通するリスクや副作用が生じる可能性があります。
主なリスク・副作用として、以下のような点が挙げられます。

  • 矯正装置装着初期の違和感や痛み
  • 歯の動き方の個人差による治療期間の変動
  • 虫歯や歯周病のリスク増加
  • 歯根吸収や歯肉退縮が生じる可能性
  • 治療後に保定装置を適切に使用しない場合の後戻り

治療期間・通院回数・費用は、症状や治療計画により大きく異なります。以下は一般的な目安であり、個別の結果を保証するものではありません。

執筆者・監修者

監修:歯科医師
沖田 亮介(日本口腔インプラント学会 専修医)

一般歯科および口腔外科領域を中心に臨床に従事している。

執筆:歯科医師(矯正歯科)
沖田 直也(歯学博士 / 日本矯正歯科学会 認定医)

歯科矯正学を専門に大学院で研究を行い、臨床および教育活動に従事している。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、治療効果や適応は個人差があります。具体的な診断や治療については歯科医師にご相談ください。